化学工学、物質収支、化学反応

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この”良くわかるケミカルエンジニアリング”は、ケミカルエンジニアではない他部門のエンジニアを対象にした入門編です。既掲載の”プロセス設計の実務”より平易に基本的な事項を含めて書いています。プラント関係の業務に携わっているエンジニアを対象にしています。

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化学工学概論 新版

昭和19年に初版発行され昭和50年代まで出版された息の長い教科書。現在は絶版ですが、古本として幾つか市場に出回っている。

化学機械の理論と計算 第2版

昭和24年に初版出版され平成14年に第20刷となった化学工学の名著。新本も入手できる。

Excelで気軽に化学工学

化学工学会機関誌「化学工学」で連載された化工計算の実際を集大成したもの。Excelで作成された計算例があり即戦力になる。

化学工学―解説と演習

最近の化学工学の理論と実践を整理したもので、例題も多く掲載されている。多少、化学工学の知識がある人向け。

1.2 物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)

前回作成した表をもとに原子バランスを計算してみましょう。まず、基本の化学反応式を再確認してみます。つまり、二酸化炭素と水を原料に光エネルギーを付加してグルコースと水、そして酸素を作る反応を下記に示します。

6CO2+12H2O+光エネルギー→C6H12O6+6H2O+6O2

原料と製品を炭素原子(C)と酸素原子(O)および水素分子(H2)に分けてみます。

CO2→1*C+2*O
H2O→1*H2+1*O
C6H12O6→6*C+6*H2+6*O
O2→2*O

この計算結果を次表に示します。ただし、単位はモル数で示しています。

組成 分子量 原料 製品
原子 - C H2 O C H2 O
CO2 44.01 6.0 0.0 12.0 0.0 0.0 0.0
H2O 18.02 0.0 12.0 12.0 0.0 6.0 6.0
O2 32.00 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 12.0
C6H12O6 180.16 0.0 0.0 0.0 6.0 6.0 6.0
合計 - 6.0 12.0 24.0 6.0 12.0 24.0

これにより原子数あるいは分子数でもバランスしていることがわかるでしょう。

この原子バランスの考え方を参考にして、グルコース(C6H12O6)が発酵してエタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)を生成しますが、その時のエタノールと二酸化炭素の比率を求めてみましょう。グルコース(C6H12O6)中の炭素原子、水素分子および酸素原子数はいずれも6となっています。

このグルコース(C6H12O6)1モル中の炭素原子数は6ですから、エタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)の炭素原子合計のモル数も6になります。そうすると考えられるエタノールと二酸化炭素の比率は以下の組み合わせとなります。

  1. エタノール:二酸化炭素=1*(C2H5OH):4*(CO2)→炭素原子数2+4=6
  2. エタノール:二酸化炭素=2*(C2H5OH):2*(CO2)→炭素原子数4+2=6
  3. エタノール:二酸化炭素=3*(C2H5OH):0*(CO2)→炭素原子数6+0=6

最後の3番目の比率では二酸化炭素が生成されないことになりますので、題意に反しますので削除します。すると残った2ケースにおける原子バランスを計算してみましょう。

組成 分子量 ケース1 ケース2
原子 - C H2 O C H2 O
C2H5OH 46.07 2.0*1 3.0*1 1.0*1 2.0*2 3.0*2 1.0*2
CO2 44.01 1.0*4 0.0 2.0*4 1.0*2 0.0 2.0*2
合計 - 6.0 3.0 9.0 6.0 6.0 6.0

この結果、発酵して得られるエタノールと二酸化炭素中の炭素原子、水素分子および酸素原子数がいずれも6になるのはケース2であり、エタノールと二酸化炭素の比率は 2:2になることがわかりました。つまり、

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

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グルコースとブドウ糖

グルコースは果物だけでなく人体の血液中に約0.1%含まれています。常温では白色の結晶で水に溶けやすい。酵母により発酵してエタノールと二酸化炭素をを生成します。
ブドウ糖には幾つかの異性体がありますが、常温結晶のブドウ糖はα型ですが溶液中ではα型の一部がβ型に変わり、両方が存在して平衡に達しています。これ以外にもガラクトースやマンノースあるいはフラクトース(果糖)などがあります。