プロセス設計の進め方、エタノール合成プロセス、

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プロセス設計の基本的な業務を、エタノール合成設備のプロセス設計を題材に説明しています。

エタノール合成設備

プロセス設計に関する説明をより分かり易くするために、仮想的なプラントを設定しました。ここでは代替燃料として注目を浴びているエタノール合成設備のプロセス設計を通じて、プロセス設計の基本を学んでいきます。

原料を二酸化炭素(炭酸ガス)と水とします。ただし、誤解が無いように言っておきますが、二酸化炭素(炭酸ガス)と水から直接エタノールを作るプロセストは実用化されていません。あくまでも仮想プラントとしてご理解下さい。

2. プロセス(工程)の構築と設定

2.1 プロセス名称の決定

まず、全体のプロセスの名前を決める必要があります。ここでは単に”エタノール合成プロセス”とします。ですから、このプロセスを元に建設されるプラントは”エタノール合成プラント”ということになります。

2.2 合成反応とプロセス(工程)の設定

次にプロセスの内容(工程)を決めなければなりません。つまり、原料から製品を製造する手順や手段を具体的に決める必要があります。
この工程とは化学工学の反応や蒸留などの単位操作の組み合わせであり、プラントにおいては設備や装置から構成されるまとまったユニットとして考えることが出来ます。
このエタノールプロセスでは水と二酸化炭素からエタノールを製造しますので、次の手順で工程内容を決めていきます。

  1. 水と二酸化炭素からエタノールを作るための手順を考える。
  2. 反応の温度圧力条件を設定する。
  3. 製造したエタノールを製品仕様にするための処理方法を決める。

1. に関しては、当初、水と二酸化炭素から直接エタノールを合成する方法を考えましたが、反応の平衡達成率が低いことがわかりましたので、以下の手順を踏むことにしました。

  1. 水を分解して水素を作る。
  2. 二酸化炭素と水素を反応させて一酸化炭素を作る。
  3. 水素と一酸化炭素からエタノールを合成する。

水を分解して水素を作る手段としては、地球環境へ配慮して太陽光を利用した高温電気分解などが考えられます。二酸化炭素は例えば火力発電所の排ガスからの回収などが考えられます。
また、”二酸化炭素と水素を反応させて・・・”はシフト反応または一酸化炭素転化反応と呼ばれる反応で、ガス関係のプラントではなじみ深い反応です。

上記の手順における反応を以下に示します。まず、反応AによりH2を生成します。この水素を作る工程が後述する”水素製造工程”に相当します。次に反応BおいてCO2からCOを生成します。次にH2とCOから反応Cでエタノールを合成します。この反応B反応Cはエタノール合成反応器において同時に進行するものとしますと、結果的に反応B反応Cとの組み合わせである反応Dになります。

  1. 水の分解      H2O → H2 + 0.5O2
  2. シフト反応 CO + H2O ⇄ CO2 + H2
  3. エタノール合成  2CO + 4H2 ⇄ C2H5OH + H2O
  4. エタノール合成 2CO2 + 6H2 ⇄ C2H5OH + 3H2O

2. のエタノール合成の反応条件については、次章で説明します。
3. のエタノールの純度改良に関しては、エタノール合成で生成する粗エタノール(水とエタノールの混合物)を合成ガス(H2+CO+CO2)から分離する工程と、生成した粗エタノール(水+エタノール)からエタノールを抽出する単位操作、つまり蒸留工程が必要となります。また、エタノールと水では共沸蒸留となりますので、設計基本で設定したエタノール純度を達成するためには、蒸留工程の下流にエタノール純度を上げるための精製工程が必要になります。(詳細は後述)

今までの議論を纏めますと、エタノール合成プロセスは次の工程から構成されます。

  1. 水素製造工程:高温の条件下で水を電気分解して水素を製造する。さらに生成した水素をエタノール反応条件まで圧縮する工程。もし、電気分解の運転圧力>エタノール合成圧力とすれば、新たな圧縮工程は不要になります。
  2. 二酸化炭素圧縮工程:常圧の二酸化炭素をエタノール反応条件まで圧縮する工程。
  3. エタノール合成工程:水素と二酸化炭素からエタノールを合成する工程で、先ほどの反応Cと反応Dの組み合わせとなる。この工程では、エタノール合成温度までの昇温操作や、生成した粗エタノールを分離操作を含むものとする。
  4. エタノール蒸留工程:エタノールを約96%まで蒸留操作により精製する。
  5. エタノール精製工程:約96wt.%まで精製したエタノールを濃縮し、製品仕様に設定された純度(99.5vol%以上)まで精製する。技術的にはゼオライト膜を使った脱水技術が考えられる。