4.2 ポンプの設計
4.2.4 遠心ポンプのNPSH
NPSHR(NPSH Required)は必要有効吸込ヘッドと訳され、キャビテーションによるポンプ効率の低下を避けるために必要な吸込圧力である。この効率の低下の度合いは比速度(ns)が小さいほどその傾向が強い。
このNPSHR(NPSH Required)に対して実際に有効なNPSHをNPSHA(NPSH Available)といい、次式の関係がある。
NPSHA > NPSHQ
NPSHA = Ha-Hv-Hs-hws
ここで、Haは運転圧力(大気圧の場合には10.33m)、Hvは液体の飽和蒸気圧、Hsは吸込高さ(ポンプより吸込容器が上に位置する場合は正、逆の場合には負となる)、hwsは吸込側の損失ヘッドを示している。
一方、NPSHRは次式で定義されており、C1はポンプ吸込での流速(m/s)、W1は羽根入口での局部的流速(m/s)、A1、A2はそれぞれの圧力係数である。
NPSHR = A1*(C1^2)/2g + A2*(W1^2)/2g
ここで、C1やW1を得るのは困難なので、NPSHRをある係数(トーマのキャビテーション係数:sigma)を使って次式で再定義する。ただし、Hはポンプの揚程。
NPSHR = sigma*H
このsigmaに関してはnsの値に対する実験式が求められている。
sigma = 7.88E-5*ns^1.33 片吸込
sigma = 5.00E-5*ns^1.33 両吸込
また、吸込比速度Sを定義し、これよりNPSHRを求めることが出来る。
S = n*Q^0.5/NPSHR^0.75
このSと先ほどのsigmaには次式の関係がある。
ns = S*sigma^0.75
比速度Sは経験上、ポンプの用途などにより定められており、一般のポンプでは1300~2000(標準1400)、冷却水ポンプで2200と言われている。以上のトーマのキャビテーション係数と吸込比速度を使ってポンプに必要な有効吸込揚程を計算してみよう。
この結果、下記に示したポンプ仕様(片吸込+一般ポンプ)におけるNPSHは約3mであることがわかる。ポンプメーカーからの要求でもおよそ2mがNPSHのminimumと考えて良い。
なお、NPSHAとNPSHRとの余裕は10%もしくは0.6mのどちらか大きい方とする。
| 項目 | 単位 | 数値 |
| 回転数 (n) | rpm | 3,000 |
| 流量(Q) | m3/min | 1.0 |
| 揚程(H) | m | 20 |
| 吸込形式 | 比速度(ns) | sigma | 吸込比速度(S) |
| 片吸込 | 317 | 0.0170 | 1197 |
| 両吸込 | 224 | 0.068 | 1684 |
| 吸込形式 | sigma | NPSH |
| 片吸込 | 0.170 | 3.40m |
| 片吸込 | 0.068 | 1.36m |
| 用途 | S | NPSH |
| 一般ポンプ | 1400 | 2.76m |
| 冷却水ポンプ | 2200 | 1.51m |



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