1.4 圧縮機周りの設計条件
1.4.6 圧力推移シミュレーション②
下記に示すSec.Bの物質収支をもとに、圧縮機吐出側の圧力推移シミュレーションを行いましたので説明いたします。
圧縮機吐出側
(1) 圧力シミュレーションの考え方
システムの圧力変動は前述したように物質収支をベースに計算します。しかし、システム内にドラムなどの機器や比較的大きい容量を保持する配管などが設置されている場合には、大量のガス量を保有すればするほど圧力が高くなりますので、結果的にシステムパラメータが増えるので物質収支だけでは一義的に解を得ることが出来ません。
つまり、初期の温度や圧力を確定しても、圧力推移シミュレーションの結果は複数の解を提供することになります。この中から実際にあり得る解を選択決定するためには、システム内に設置されている機器の仕様あるいは性能を考慮する必要があります。
特に今回のシステムには圧縮機が含まれており、その仕様および性能をあらかじめ確定し把握しておく必要があります。
(2)圧縮機仕様の確認
以前紹介しましたDressar-Randのウェブシミュレータを使用して、圧縮機の仕様(設計流量、ヘッドおよび軸馬力)を決定します。その結果を下記に示します。ただし、吸込圧力は1.8MPa(abs)、吐出圧力は3.8MPa(abs)としております。
表2-4 圧縮機の仕様
| 設計流量 | Nm3/hr | 85,895 |
| 設計揚程 | m | 23,559 |
| 軸馬力 | kW | 2,886 |
| 効率 | % | 82 |
また、運転条件が変動した際の揚程や効率、あるいは軸馬力を表した性能曲線も必要となります。
ただし、この性能曲線は設計当事者でなければ描けないのが一般的でありますので、ここでは単純な仮定、つまり揚程や効率、あるいは軸馬力などを流量の関数として表現しそれを使用することにします。その一例(100%回転数)を下図に示します。

(3)システム容量の影響
システムが有する容量が大きければ大きいほど、上流からのプロセスガスの変動(流量や圧力など)や圧縮機の性能変動の影響を抑えることが出来ます。
そこでシステム(ここでは圧縮機吐出側)の容量を変えた場合の圧力上昇について計算してみました。ただし、前提として、
1.圧縮機出口の次工程との締切弁(HCV)は圧縮機停止と同時に閉じ始め、およそ4~5秒で全閉する。
2.圧縮機出口のspill back弁(FCV)は圧縮機停止から5秒後に閉じ始め、およそ10秒で全開する。
3.圧縮機の回転数は圧縮機停止と同時に時間に逆比例して低下し始める。
計算の結果、システム容量が大きいほど圧力上昇の割合は小さくなり、4~5m3(圧縮機設計流量換算で5~6秒の滞留時間)の容量があれば圧縮機吐出側圧力は定常時圧力(3.8MPa)の5%増の4MPa以下に収まるが、それ以下の容量では吐出側に設置される安全弁吹出し圧力=設計圧力(4.2MPa)を超える可能性があります。

(4)圧縮機停止における安全対策
今までの結果から、圧縮機が停止した場合の安全対策、特に運転圧力が設計圧力を超えないようにするには以下のような方策をとる必要があります。
- 圧縮機周辺に容量の大きいドラムなどを設置する。
- 圧力を緩和するような制御弁(FCV)の動作速度は素早く、圧力を上昇させるような締切制御弁(HCVなど)の動作速度は遅くする。
- 設計圧力を出来るだけ高めに設定する。



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