1.3 蒸留系運転と設計条件
1.3.2 運転条件の設定
議論を続ける前に、蒸留塔まわりの運転条件と設計条件を決めておく必要があります。ただし、問題をもう少し複雑にするために、蒸留塔凝縮器の型式を空気冷却器に変更しました。この理由は後ほど説明いたします。
下表に蒸留塔周りの運転条件を示しました。つまり、蒸留塔トップの運転条件は圧力0.16MPa、温度76.6℃。蒸留塔ボトムの運転条件は圧力0.22MPa、温度123.3℃としました。
表1 運転条件の設定
| 場所 | 運転圧力 | 運転温度 | 備考 |
| 蒸留塔トップ | 0.16MPa | 76.6℃ | 凝縮器入口 |
| 蒸留塔ボトム | 0.22MPa | 123.3℃ | リボイラ入口出口 |
| 粗メタノール | 0.46MPa | 56.0℃ | ---- |
| 還流ドラム | 0.14MPa | 73.0℃ | 凝縮器出口 |
| 精製メタノール | 0.45MPa | 73.0℃ | ---- |
| 還流メタノール | 0.25MPa | 73.0℃ | 蒸留塔戻り |
| 排水 | 0.22MPa | 123.3℃ | ---- |
| スチーム | 0.440MPa | 147.2℃ | ---- |
| 凝縮水 | 0.426MPa | 146.0℃ | ---- |
| 空気冷却器入口 | ---- | 28.0℃ | 大気空気 |
| 空気冷却器出口 | ---- | 45.0℃ | ---- |
1.3.3 設計条件の選定
仮の設計条件を以下のようにします。つまり、
- 蒸留塔トップの設計温度は、運転温度+10℃、または運転圧力+0.1MPaにおける飽和温度のどちらか高い温度とする。
- 蒸留塔トップの設計圧力は、運転温度+10℃における飽和圧力、または運転圧力+0.1MPaのどちらか高い圧力とする。
- 蒸留塔ボトムの設計温度は、運転温度+10℃、または運転圧力+0.1MPaにおける飽和温度のどちらか高い温度とする。
- 蒸留塔ボトムの設計圧力は、運転温度+10℃における飽和圧力、または運転圧力+0.1MPaのどちらか高い圧力とする。
表2 設計条件の選定
| 場所 | 条件 | 設計圧力 | 設計温度 |
| 蒸留塔トップ | 運転圧力 | 0.16+0.10=0.26MPa | 90.6℃ |
| 蒸留塔トップ | 運転温度 | 0.227MPa | 76.6+10.0=86.6℃ |
| 蒸留塔ボトム | 運転圧力 | 0.22+0.10=0.32MPa | 135.8℃ |
| 蒸留塔ボトム | 運転温度 | 0.297MPa | 123.3+10.0=133.3℃ |
これにより、蒸留塔ならびに周辺の機器の設計条件を以下のように設定します。
表3 設計条件の設定
| 場所 | 設計圧力 | 設計温度 | 備考 |
| 蒸留塔トップ | 0.26MPa | 90.6℃ | 表2より |
| 蒸留塔ボトム | 0.32MPa | 135.8℃ | 表2より |
| 粗メタノール | 0.56MPa | 66.0℃ | 0.1MPa&10℃プラス |
| 還流ドラム | 0.24MPa | 88.2℃ | 差圧0.02MPa設定 |
| 精製メタノール | 0.55MPa | 88.2℃ | 還流ポンプ締切圧 |
| 還流メタノール | 0.55MPa | 88.2℃ | 精製メタノールに同じ |
| 排水 | 0.32MPa | 135.8℃ | 蒸留塔ボトムに同じ |
| スチーム | 0.60MPa | 158.9℃ | スチームシステム準拠 |
| 凝縮水 | 0.58MPa | 157.6℃ | スチームシステム準拠 |
1.3.4 設計条件と水運転
プラントの試運転準備の一つとして、N2やスチームによるフラッシング(flashing)やクリーニング(cleaning)を行います。一般に、プラントに納入される機器には、さび止めのために油や特殊な薬品が塗布されていることが多く、そのために試運転前にそれらを除去するためにクリーニング作業が行われます。
クリーニングには薬液を使用したケミカルクリーニングや水を使用した水洗浄(略して水洗)があり、特殊な例では金属表面に不動態皮膜を作る酸洗と言われるボイラ周りのケミカルクリーニング(chemical cleaning)があります。
この蒸留システムでも温水を循環させて塔内部品(トレイなど)に塗布された油や錆び落としのための洗浄をしなければなりません。
この温水は蒸留塔ボトムに水を張り、リボイラにスチームを通して作りますので、蒸留塔内部はスチームと水の共存状態になり、その運転温度は蒸留塔の運転圧力下での水の飽和温度に等しくなります。一般には、大気圧下で行いますので、試運転準備中の蒸留塔本体の温度は100℃程度を考えればいいことになります。
この温水洗浄の運転時間は実績では1週間程度を要しており、§1.3.2 ”運転モードと運転時間”で説明したT_10やT_50などより長くなりますので、設計条件の設定に考慮しなければなりません。
それでは、この水運転下での運転条件をどのようにして設計条件に反映させるのでしょうか?
<続く>



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