バイオマスは植物や動物に由来する有機物質で、再生可能なエネルギー源です。
このバイオマスをガス化処理して得られるバイオガスの主成分はメタンと二酸化炭素、微量の窒素や酸素などを含んでいます。バイオガス化学プラントでは、このメタンと二酸化炭素からアルコールなどのケミカルを製造します。
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バイオマスとバイオガスに興味を持ったのは、ここ数年、バイオガスを原料にする化学プラントの企業化計画に参加したことがきっかけでした。
この「バイオガス化学プラント」では、バイオマスからのバイオガス製造、それを原料にする化学プロセスについてお話しします。

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1. バイオマスについて

1.1 バイオマスとケミカル

バイオマスは植物や動物に由来する有機物質で、再生可能なエネルギー源です。
この植物はタンパク質を主成分とする細胞と、炭水化物から作られている繊維質から形成されています。炭水化物は二酸化炭素と水を原料に光合成で作られ、その際に太陽光エネルギーを化学エネルギーとして取り込んでいる事になります。
このバイオマスが持っている化学エネルギーを他のエネルギーに変換するためには以下の方法があります。

  • バイオマスを直接燃焼させて熱エネルギーとして利用する。
  • バイオマスを液化して液体燃料として利用する。
  • バイオマスをガス化してバイオガスとして利用する。

石炭は木質バイオマスが何十億年の歳月を経て炭化した物質で、石炭を乾留して得られる石炭ガスは19世紀のロンドンの照明用として実用化されました。また、乾留して得られたコールタールを蒸留することによりベンゼンやトルエンが発見され、石炭化学が勃興しました。その後、20世紀初頭には石炭の液化法が発見されてドイツや日本で研究が進みましたが、遅れて登場した石油化学にその座を奪われ、現在に至っています。
地球環境問題から石炭や石油の利用は今よりも制限される可能性が大きいので、バイオマスのエネルギー転換とケミカルへの転換について今後、注意深く見ていく必要があります。

1.2 バイオマスの分類と利用形態


資源エネルギー庁の”なっとく再生可能エネルギー”によれば、バイオマスの分類は下図のようなマトリックス構造になっており、横軸には乾燥系、湿潤系およびその他が、縦軸には木質系、農業・畜産・水産系と建築廃材系が配置されています。
バイオマスの分類
具体的なバイオマスの利用形態を見ますと、下記に示すように液化とガス化の二つがあります。

  1. 木材(wood)や穀物(crops)からアルコール燃料を製造(alcohol fuels)
  2. 生ゴミ(garbage)から埋立地ガスを製造(landfill gas)

バイオマスの利用形態eia U.S. Energy Information Administration
下の左の写真は昨年6月に訪問したブラジル・サンパウロ郊外の埋立地ガスプラントの外観です(クリックすると拡大します)。中央左には都市ゴミを運搬してきたトラックと埋め立てをしている重機が見られます。手前はすでに埋め立てを終わった高台で、表面には草が生えてきています。右側の建物はプラントの管理棟で、さらにその右側には埋め立て後に植林した森の一部が写っています。
その下の写真二枚には先ほどの森の中に作られた樹木苗の栽培場が写っています。もう一枚の写真には苗床として再利用しているペットボトルが写っており、そこでは数十種類の樹木苗が栽培されています。
ブラジル・サンパウロ市郊外の埋立地ガスプラント1ブラジル・サンパウロ市郊外の埋立地ガスプラント1Landfil gas plant
ブラジル・サンパウロ市郊外の埋立地ガスプラント2Nursery of timberブラジル・サンパウロ市郊外の埋立地ガスプラント3

第1章 バイオマスについて
1.1 バイオマスとケミカル
1.2 バイオマスの分類と利用形態
1.3 バイオマスからの製品
第2章 バイオマスエネルギー
2.1 バイオエネルギー
2.2 バイオ燃料
2.3 バイオエタノール
2.4 バイオディーゼル
2.5 バイオガス

マレーシアやインドネシアでパーム油(ヤシ油)が生産されています。その際に多くの廃棄物(POME、EFB、PKC)が排出され、環境問題になっています。このパーム油に関する話題を二つ紹介します。

リスクの高いパーム油発電:パーム油生産における問題点を指摘。自然エネルギー財団 相川高信氏 2017年9月4日

パーム油で急増、バイオマス発電のFIT認定/健全な伸長のため、望まれる持続的な燃料調達:森林文化協会ブログ

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